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OPEN FACTORY

都市型工房の可能性をオープンに

2020
01.24

「聞いたことあるけど見たことない」 3Dプリンター編 ①

こんにちは。技術開発部の田中と申します。
3Dプリンターやレーザー加工機などを使って、なるべく面白いものを考える係を担当しております。こちらに載せる記事もなるべく面白いものになるようにがんばりたいと思います。

さて、初投稿の今回は、「聞いたことあるけど見たことない」という方が多い「3Dプリンター」についてサラっと書かせていただきたいと思います。

3Dプリンターとは、コンピューターで作った3次元のデータを立体物として出力してくれる機械です。1987年に初めて商品化されて以来、現在も世界中で様々な種類の3Dプリンターが研究、開発されており、材料や出力方式、また、大きさや価格の面でも多岐に渡っています。フルカラーで出力できるものや、金属を出力できるもの、建物や食べ物、亀の甲羅までプリントできるようになっています。
なんともすごい世の中になったものです…。

私の隣の机の上に鎮座まします3Dプリンター様が弊社に降臨されたのは昨年5月のことでした。素人なりに事前にいろいろと調べまして、コスト、扱い安さ、メンテナンス性などの理由から「FDM方式」のプリンターを選択しました。
FDMとは、“Fused Deposition Modeling”の略で、日本語にすると「熱溶解積層方式」となるようです(ネット調べ)。文字通り、熱で溶かしたプラスチック樹脂をゆっくりと降下するプレートの上に押し出して、層を積み上げて立体物を作ります。
イメージ的には陶芸技法の「ひもづくり」に近いでしょうか…ひも状の土を積み重ねて器にしたりする…アレです。アレをちっちゃな世界でやっている感じ…あくまで個人的なイメージですが…。

くどくどと書いてしまいましたが、見ていただいた方がわかりやすいことに気が付きましたので動画を作成してみました。こちらを見ていただけると、3Dプリンタがどのように動くのかがおわかりいただけると思います。
残念ながら私、YouTuberではございませんので、素人感ハンパない動画です…お許しを…。

いかがでしたでしょうか?
「動き方はわかったけど、このぐらいのものを作るのに5時間もかかる…ってマジか!?」と思われたことでしょう。
はい、マジです。そういう世界なのです。
弊社の本業はサインやディスプレイの製作施工なのですが、常にクオリティーとスピードを求められます。社内では、すごいスピードでガンガン出力する大型インクジェットプリンターが常に稼働しています。2次元ではあるものの、5時間あれば1.3m幅×50mを余裕で出力できちゃいます。
そんな日常に現れたこの3Dプリンター様は、異質と言おうか別次元と言おうか、とにかく同じ感覚で捉えてはいけない機械でした。今では慣れたものの、当初は「こ、これっ、そんなに時間がかかるのですかっ!?」の連続でした。

出力方式や機種によって差はあると思いますが、3Dプリンター様に接する際には、いろんな意味で余裕を持たれるよう、強くお勧め致します。

さて、動画の途中に「サポート」という言葉が出てきましたね。「なんのこっちゃ」という方のために補足致します。下の図をご参照ください。
FDM方式のプリンターで図のような形のものをそのまま出力すると、上部の張り出し部分(オーバーハング)の樹脂が重力によって下にダラダラと垂れてしまい、糸くずのかたまりのような状態になります。これでは困っちゃいますので、3Dプリンターの守護神、いや、ソフトウェアである「スライサー様」にお願いすると、自動でオーバーハングの下に支えを作って、ちゃんとした形になるように工夫してくださるのです。
この支えが「サポート」です。日本語にすると「支持材」でしょうか…サポートの方がこなれ感があってカッコイイので私はそう呼んでいます。

写真の左側がサポートなし、右側がサポートありで出力したものです。比較すると一目瞭然ですね。

出力が終わったらこのサポートを外して完成となります。
サポートは本体よりも薄く作られていて、切ったり折ったりしやすく、また本体との接合部も外れやすくなっています。ただ、形状によってはこの接合部にサポートの跡が残ってしまい、後処理の手間が発生するので、本来はサポートなしでの出力が理想です。そのため、データを工夫したり、サポートが必要な箇所、不要な箇所を見極めたりするスキルが必要になります。
この辺りはある程度使い込んでいかないと難しいかもしれません…私もまだまだ修業中です…。

サラッとのつもりが、かなり長くなってしまいました。皆様のご興味と集中力も途切れがちになる頃かと思いますので、この辺りでお開きとさせていただきます。
次回のテーマは「聞いたことあるけど見たことない 3Dプリンター編 ②」の予定ですが、内容は現在のところ白紙状態です…明らかに違うテーマに変わっていても、どうか気付いていない体でお願い致します。

最後に、動画内で作成していた物体が何になったかと言うと…

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

担当:田中