OPEN FACTORY
都市型工房の可能性をオープンに
2020
06.22
「聞いたことあるけど見たことない」 真空成形機編
こんにちは。技術開発部面白いもの係の田中です。皆様いかがお過ごしでしょうか?
さて、お待ちかね(?)の「聞いたことあるけど見たことない」シリーズ、二回目の今回は「真空成形機編」をお送りしたいと思います。
「真空成形機なんて聞いたこともないんですけど…」という方、いらっしゃいますよね?
ご安心ください。ウチの嫁もそうでした。そんな方々のために簡単にご説明致します。
「真空成形機」とは、加熱して軟化させたプラスチック板を型に合わせて真空吸引することで立体的なプラスチック製品を製造するための機械のこと、です。
「ちょっと何言ってるかわからない」という方のために、真空成形機の基本的な仕組みを図にしてみました。
①真空成形機にプラスチック板をセットしてヒーターで加熱します。
②プラスチック板が加熱によって軟らかくなります。
③型をプラスチック板に押し当て、瞬時に真空ポンプで排気して密着させます。
④プラスチック板が冷えて固まってから型を引き抜きます。
この後、成形機からプラスチック板を外して余分な部分をカットしたものが製品となります。
真空成形は、一つの機械でも材料や型を変えることで様々な製品を作ることができるので、非量産品や試作品でも低コストで製作することができます。この技術は1930年代から使われており、身近なものですと、卵のパックやコンビニ弁当の容器などを思い浮かべていただくと、よりイメージが湧きやすいかと思います。
これ以外にも、いろいろな商品のパッケージ、家電製品や自動車の部品など、真空成形製品は日常生活に広く浸透しているのです。
とは言え、日常で真空成形機を見る機会はなかなかありません。
ではなぜ今回のテーマに選んだのか…
それは是非ご紹介したい製品があるからです!
その名も【V.former Lab】!
プロダクトデザイナーの杉谷昌保さんと株式会社ラヤマパックさんの共同開発により誕生した卓上タイプの真空成形機です。
真空成形機はサイン業界でも立体POP等の製作に使われていることもあり、弊社でも少し前から「面白いものづくり」に利用できないかと調査していたのですが、そんな中で出会ったのがV.former Labでした。
子ども向けのカーデザインワークショップの中で、立体になる瞬間を体験してものづくりの楽しさを知って欲しい、という思いから開発された小型の真空成形機なのですが、従来の真空成形機の概念を覆す素朴な外観、それに見合わぬ確かな性能、シンプルな操作性、個人でも購入しやすい価格、ものづくりツールとしての可能性、とたくさんの魅力が詰まった製品です。
元々は子ども向けですが、コレ、大人が使っても十分に楽しめます!と言うより、大人の方が知恵がある分工夫次第でいろいろと楽しめる気がします。
内部を真空にするための手動式ポンプが付いているのですが、シュコシュコして段々と真空状態になって行く手応えはちょっとした筋トレ状態…でも、その後に平らだった板が一瞬にして立体に変わる様子を見れば、その苦労も忘れるくらいの爽快感を味わえます!
普段なかなか見ることのできない真空成形を手軽に体感することができる逸品なのです。
そして、このV.former Lab、実は光伸プランニングで製作しているのです!
もともとは開発者の杉谷さん自ら製作されていました。なぜなら、V.former Labの製作は完全手作業である上、高い精度を求められるので、他の人には難しいから…。
しかし、一人では生産数に限界があり、受注が増えた時の対応で頭が痛い、とのお悩みが…。
幸い弊社には製作に必要なレーザーカッターや3Dプリンターなどの設備がありましたので、製作担当として立候補!…しかし、ちゃんとモノを作れなきゃお話になりません。
試作品を作るべく杉谷師匠に付きっきりで奥義を伝授していただくこと3日、後日試作品をご覧に入れたところ…免許皆伝!
晴れて製作をおまかせいただける運びとなった次第でございます。
今後は製作だけでなく、新たなコンテンツの開発やワークショップの開催などの面でもご協力させていただく予定です。
現在、コロナウィルス流行の影響でワークショップの予定は立っていませんが、今後様々な展開を検討中とのことです。
ご興味のある方は下記URLで最新情報をチェックしてみてください!
今回も長くなってしまいました…。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
担当:田中